メジャーリーガーとして度々MVPに輝いてきたプロ野球選手の「イチロー」は、サムライを彷彿とさせる超然とした佇まいや、WBC (ワールド・ベースボール・クラシック) で見せたチームを鼓舞する姿で世界中の人気者になりました。
天才として自信に満ち溢れているようにも見えますが、実は彼を支えているのはとことん自分と向き合い、何をすればいいのかを見極め、地道に練習を重ねているという「事実」に他なりません。
「僕は天才じゃありません。毎日血のにじむような練習を繰り返してきたからこそ、今の自分があるのです。」
「今日はモチベーションが上がらないから早めに上がろうかな」
仕事をしている人なら、一度は「モチベーション」という言葉を使ったことがあるのではないでしょうか。まさに、「モチベーション」は仕事の原動力なのですが、厄介なことにこの「モチベーション」は上がったり下がったり…。
いつも「やる気満々」…というわけにはいきません。
イチローだってそう。常にモチベーションをトップ状態でキープしているわけではありません。ただ、モチベーションが低いときも継続して練習に取り組めるよう調整したり、ここぞというときにモチベーションを高めたり、と自らをコントロールする能力には長けているようです。
落合が語る引退前のイチロー
人は年齢とともに目から入ってくる情報がどうしても減少してしまいます (衰え)。これはプロスポーツ選手にとって致命的!プロ野球界のレジェンド落合博満さんは引退前のイチローの姿を見て、「(一生懸命ボールを見なければならないため) バッティングの動きが小さくなっている」と指摘。
「ふり幅が小さく、ものすごくこじんまりとしたバッティングになっていた」と言います。
自身にも同じような経験があり、いろいろと改善しようとしたそうですが「これが一番悪いやり方だった」と辞めてからわかったそうです。
ちなみに、メジャーリーグで目覚ましい活躍を続けているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手については「(二刀流は) 成功は成功ですよ」とコメントされています。
イチローに学ぶべき3つのこと
「いま、小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道なんだなというふうに感じています」
これはイチローが、メジャーリーグの年間安打数の記録を破ったときのコメントです。様々な記録を叩き出す非凡な選手に見えるイチローも、生まれついての天才ではなく努力型の秀才なのです。
① 努力の習慣
とんでもない結果を出す人は、生まれつき特殊な才能を持っていると考えられがちですが、イチロー選手が行なってきた努力の内容はけっして特別なものではありませんでした。ただ、
「やろうと決めたことに対して手抜きをしないこと」
つまり、イチローが偉大なメジャーリーガーとして大成功した秘訣は、「自分がやると決めたことは何があっても万難を排してやる」という、長期間にわたって習慣として持続させていく継続力にあるのです。
そもそも一流と呼ばれる人たちは皆、当たり前のことを当たり前に行なう習慣をもっています。やる気があろうがなかろうが、やるべきことをいつもやり続けることが大事なのです。
「僕を天才と言う人がいますが、僕自身はそうは思いません。毎日血の滲むような練習を繰り返してきたから今の僕があるんです。」
強いて言うならば、周りの子供たちがマンガを読んだりゲームをしたりという子どもらしい快楽を楽しんでいる間も、自身はバットの素振りなど苦痛を伴う作業をルーティンワークとして課してきた「努力する天才」だったのです。
② 1つのことを徹底的に追求
あれこれと新しいものに目移りしてしまいがちな世の中ですが、そうした浮気心はときに、どれも自分のものにできない結果を招いてしまいます。
「僕にとって、これからやるべきことで新しいことは何もない。これまでやっていることをできるかどうか。」
世の中に、いろんなことが70点どまりの人と、あるひとつのスキルに関しては100点の人がいるとしましょう。社会が評価するのはどちらの人でしょうか?
仕事にもよりますが、「天職」「ワクワクする仕事」を求めているのであれば間違いなく後者がいいでしょう (公務員タイプの方は前者)。
コツコツと、好きなことのスキルをとことん追求し上げていく持続力が大事になってきます。
③ 今やるべきことに集中
「一生懸命やる!」・・・
日本人はこうした精神を美しいと感じるメンタリティを持っているようです。しかし、プロにとってこれは当たりまえのことで、わざわざ表明するようなことではありません。
「どうしても勝たないといけないんです。」
頑張らなくても結果を出せる人と頑張っても結果が出ない人。プロの世界で評価されるのは前者です。
「頑張る!」が口癖になっている人ほど、すぐにできることを先送りにして「いま」始めようとはしません。だからこそ、これらの言葉を封印して、黙って今やるべきことに集中しましょう!過去を悔いるでもなく、未来を夢みるでもなく、「いま」だけに全力投球するのです。
簡単なことほど奥が深く、単純なことほど難しい
相手を変えることは難しいですが、自分を変えることならすぐにでもできます。それは仕事でもそう。「自分に合う仕事が他に何かないか」と考えるのではなく、目の前にある仕事に合わせて自分を変えられるかどうかを考えることが大切なのです。
「びっくりするような好プレーが勝ちに結びつくことは少ないです。確実にこなさないといけないプレーを確実にこなせるチームは強いと思います。」
ホームランを打つのは確かにすごいことですが、それよりもコンスタントにヒットを打ち続けることの方がはるかに難しく大切なことなのです。
雑用は雑に扱うことで雑用になり、丁寧に扱えばそれは「仕事」になるということを心して、日々の生活に取り組んでいきましょう!