相撲 (すもう) は武道・格闘技・スポーツとして、今や世界中の人たちを魅了する日本の大切な伝統文化の一つとなっています。土俵の上で力士たちが組み合って戦う「日本古来の神事・祭り」であり「娯楽」です。古くから、祝儀 (懸賞金) を得るための興行として行われてきました。
そんな相撲は「神話の時代」(大昔) に始まり、その後江戸時代に庶民の娯楽として隆盛を極めました。もともとは、日本固有の宗教である「神道」に基づく神事です。
※ 神道・・・教典や具体的な教えはなく、開祖はいません。「自然と神は一体」と認識されており、神と人間を結ぶ具体的な作法が祭祀であり、その祭祀を行う場所が神社であり、聖域とされています。
そのため大相撲は、他のスポーツと比べて礼儀作法が厳しく、生活様式や風貌なども旧来の風俗がそのまま維持されています。相撲に関する最古の記録は、日本最古の歴史書「古事記」(712年) の中に記載されています。
ルールはとっても簡単!土俵から出るか、足裏以外が地面についたら負けです。判定は行事 (ぎょうじ) が行います。そして何より興味深いのは、体重の区別なく「無差別」で戦うということです。「仕切り」「立ち合い」「組み方」「決まり手」「禁じ手」など、より詳細なルールについては個別にお調べください。
「大相撲」は、日本相撲協会が主催するスポーツの興行です。年に6回 (6場所) あり、1月・5月・9月は東京 (両国国技館)で、3月は大阪で、7月は名古屋で、そして11月は福岡で開催されます。全ての力士たちは「番付」によってランク付け (階級が分類) されており、当然、成績が良ければ上がりますし悪ければ落ちていきます。最上位の階級を「幕内」(まくうち) 、その次の階級を「十両」(じゅうりょう) といいます。
ご存知のように横綱は「幕内」のトップに君臨しています。大関以下の力士たちは成績が悪いと降格していきますが、横綱はそうではありません。成績が振るわないと「引退」するしかない…という非常に厳しいポジションなのです。
《続きを読む》
1. 横綱
横綱 (よこづな) は大相撲力士の最高位の称号で、その語源は横綱だけが腰に締めることを許されている「綱」に由来します。現行の制度では横綱に降格はなく、現役引退によってのみその地位から降りることができます。したがって横綱には、その地位にふさわしい品格と抜群の力量が求められるのです。横綱はすべての力士を代表する存在であり、神霊が依り憑く対象ともされていますので、滅多なことで様々な行事を休むことはできません。
古くは戦国の時代に「綱」の記述が残っており、やがて江戸時代中期の浮世絵にその姿を残すようになりました。前述した通り、相撲の歴史は「古事記」頃から存在するのですが、横綱に関しては江戸中期の登場となっています。ちなみに、千代の富士が第58代、貴乃花が第65代、白鵬が第69代、そして2019年に引退した稀勢の里が第72代の横綱となっています。江戸時代から今日まで、100人もいないんですねー。
2. 大関
大関は「横綱の下」「関脇の上」の地位で、「三役 (力士)」である大関・関脇・小結の最上位です。江戸時代の大相撲初期からある地位で、必ず最低2名 (東西1名ずつ) をおかないといけません (江戸時代のいつ頃からか、大関の上の地位として横綱が生まれました)。ちなみに、大関昇進後の待遇は関脇までの比ではありません。
3. 関脇
関脇は「大関の下」「小結の上」の地位で、「大関の脇を務める者」が語源とされています。こちらも必ず最低2名 (東西1名ずつ) おかないといけません。
4. 小結
小結は「関脇の下」「前頭の上」で、語源の由来は諸説あり定かではありません。こちらも江戸時代の大相撲初期からある地位で、必ず最低2名 (東西1名ずつ) おかないといけません。小結クラスで幕内優勝した力士は過去に数名おり、最近では2018年の九州場所で貴景勝が優勝しました (13勝2敗)。
大相撲を観戦するならやっぱり「溜席」(たまりせき)が一番です!「力士の息遣い」「生々しいぶつかり音」「行事の華麗な所作の数々」などを臨場感をもって体感することができます。
《続きを読む》
① 溜席 (たまりせき)
溜席 (別名:砂かぶり席) は土俵際で観戦する座布団席のことで、料金が一番高く設定されています (15000円/人ほど)。この溜席は東西南北で約500人分ほど用意されています。このうち土俵に近い300席は「維持員席」といい、後援団体やそれなりの寄付をした個人・法人に割り当てられています (維持会員以外でも購入は可能です)。ここでの飲食物・危険物の持ち込み並びにカメラ・携帯電話の使用は禁止されています。転落してきた力士に巻き込まれて怪我した際の応急処置はありますが、その後の補償はありません。くれぐれもご注意を。
② 桝席 (ますせき)
桝席は、溜席の後ろから続く1階の座布団席で、もっとも人気の高い席カテゴリーになっています。一般的なのは、4人分の座布団が敷かれた正方形のスペースを1マスとして仕切られた形の席です (1~6人用の桝席もあります)。この桝席は飲食自由で、お弁当を食べお酒を飲みながら相撲を観戦することができます。A席 (1~8列目) は12000円/人、B席 (9~12列目) は11000円/人、C席 (13~15列目) は10000円/人ほどとなっています。ちなみにB席とC席にはファミリーやシルバーを対象に割引された1マス31,000~37,200円のマス席も用意されています。
③ 椅子席 (いすせき)
椅子席は2階にある座席のこと。土俵を上から覗くような形になっており、土俵から離れていますが独特な開放感があり、お得な料金で「場所」の雰囲気を味わいながら相撲観戦をすることができます (3800~8500円/人)。
④ 自由席
椅子席の後ろには当日券の自由席もあります (大人2200円/人、子供200円/人)。さらに、この自由席を15日間通しで購入できる「通し券」が2万円ほどで販売されています。
《 取り組みの時間 》
取り組み (試合) は、順位が下の者から (朝の8:30から) 開始します。13~15日目は10:00からです。その後、十両は15:00から、幕内は16:00からが目安となっています。なので、どうしても時間がないという方は、幕内からだけでも観戦しましょう!
《続きを読む》
お相撲さんの収入は「基本給 + 歩合」です。十両以上の力士は「日本相撲協会」から給与が支給されます。関取と呼ばれ、職業として「力士」を名乗ることができるのです。十両以上の力士には以下 (表を参照) の月給が支払われ、さらにはボーナス(2ヶ月分) も支給されます。
そのほか、以下のものが収入源となります ↓
◉ 出張手当・・・年間70~120万円 (十両以上、地位により異なる)
◉ 特別手当・・・場所毎に5~20万円 (三役以上)
◉ 報奨金・・・場所毎に支給される基本給と手当の中間のような給与 (勝ち越しなどで基本額が加算されていき、減ることはない)
横綱 〜 60万以上 (白鵬クラスであれば一場所500万円くらい)
大関 〜 40万以上
関脇以下〜 24万以上
十両 〜 16万以上
◉ 金星・・・報奨金の一つ。金星は平幕 (幕内力士のうち役力士でない者) の間に横綱を倒せば倒すだけ加算され、金星一つにつき報奨金に毎回4万円 (二つなら8万円) がプラスで支給され続けます。
◉ 懸賞金・・・取り組みには「懸賞金」がかかる場合もあります。勝利力士は勝ち名乗りに際し、1本あたり手取りで3万円を受け取ります。
◉ 三賞 (殊勲賞・敢闘賞・技能賞)・・・それぞれ200万円
横綱・大関以外の幕内力士がもらえる可能性のある賞で、該当者なしのケースも多々あります。
というわけで、(優勝するかどうか) 実力勝負なところもありますが、横綱でだいたい5000万円、十両で1500万円の年収といったところでしょうか (もちろん、人気 & 実力が抜けていればもっとです)。当然、白鵬クラスは年収1億円超なのですが、その分多くの若い衆に奢ったりで出費もハンパありません。
夢ある世界ですが、その分厳しいということですね。
「ちゃんこ」とは本来、相撲部屋において「ちゃんこ番」の力士が作る手料理の全てを指すのですが、中でも特に広く知られているのが鍋料理全般を指す「ちゃんこ鍋」です。明治時代の後期頃、とある相撲部屋で鍋料理が広く取り入れられ、やがて鍋料理は相撲部屋の食事の代名詞となっていったそうです。
栄養のバランスが良く、食中毒などの心配が少なく、鍋を囲むことで連帯感も生まれるため、楽しい食事に適しています。引退した力士が自らの育った相撲部屋伝統の鍋料理を一般向けに提供してくれていますので、大相撲観戦後にでもぜひ、ちゃんこ鍋屋さんに足を運んでみてはいかがでしょうか?