私は長いこと、「日本文化とは何か」について一生懸命考えてきました。そして最近、日本文化とアイヌ文化には深い関わりがあることに気づいたのです。
アイヌというのは、今も北海道に住んでいる2万人くらいの少数民族のことですが、今までこの狩猟民族であるアイヌは日本民族とは全く異なった民族であるとされていました。
しかしながら近年、「アイヌはどうも日本の原住民のようだ」「この原住民の血が多くの日本人の中に入っているのではないか」と考えられるようになってきています。
長きにわたり、日本は “狩猟の国” として優れた文化を持っていましたが、今から2,300年ほど前に水田稲作農業を持っている民族が中国から、あるいは朝鮮半島から日本にやって来ました。
そして、この民族が先住民と混血したのが今の日本人ではないか…というのがほぼ明らかになってきている事実のようです。
日本人は狩猟と農耕の混血です♡
日本人は生魚や生野菜を好んで食べますが、これは日本人に狩猟民族の血が入っている証だと思われます。
農耕民族であれば、長い間だいたい同じことをやり続けてきているわけですが、狩猟民族は違います。新しい獲物を求め、あちらこちらに狩りに出かけます。
ここで、第二次世界大戦後の日本の発展というものを考えてみると、日本人は農耕ということだけでは理解できない狩猟の精神を持っていると思うのです。
今までアイヌは「日本人とは異なる民族」と考えられてきたわけですが、実は、アイヌ語は日本語と深い関係のある言語でありますし、アイヌ文化は日本文化の基礎をなした文化であると考えられているのです。
「霊魂」と「礼儀」の文化を持つジャパン☆
例えば、アイヌ語には自己反省の言葉が非常に多いわけですが、日本語にも自己反省の言葉が多いんです。こうした性質を持っている文化は「霊魂」と「礼儀」の文化だと言えるでしょう。
アイヌ文化の中にはこの霊魂について面白い考え方があります。言葉には霊魂があって、もし嘘をついたら罰せられるというのです。この考え方はやはり、日本人の中にも濃厚に残っているのです。
一方で、(ある意味) 日本の社会は大変合理的にできています。いろいろと面倒な手続きをしなくても、日本人は集団で何かまとまったことができます。これは、アイヌと日本人が共通に持っている言霊の信仰によるものではないか…というふうにも考えられるのです。
私は、「霊魂」と「礼儀」こそが日本文化の最も優れたものだと考えています。西暦3世紀に中国から日本に使者がやって来て書き残した書物「魏志倭人伝」の中にも、「日本は霊魂と礼儀の国だ」と記載されているほどです。
皆さんご存知の伝統的な日本の文化「能」は「霊魂」の芸術ですし、「茶道」は「礼儀」の道なのです。
このように考えると、アイヌと日本古代の文化には霊魂と礼儀が宿っていて、今でも、双方にこれらの精神が骨格の部分に残っていると思うのです。